【HPに寄せられた声】2023年12月

40年、粉じんとともに

私が1980年ごろ千葉市に引っ越すと考えた時に川崎製鉄(現JEF)に近い千葉出洲港の埋め立て地に公団住宅の募集がありました。住宅公団は、この団地は公害の恐れがあると言う注意書きがありました。これは良心的な注意だとは思いますが、本来は公害の恐れのある所に公共の住宅を作るべきではないと思います。

引越しは人生の大きな投資で出来事です。市役所も移住して来られる人たちの健康と財産を守るために正しい環境情報を正確に知らせるべきです。結局、私はそこを避け千葉寺町に引っ越しました。
しかし、川崎製鉄の公害によって私の住む町まで公害病指定地域となりました。これは粉じん公害より深刻な硫黄酸化物による呼吸器系の病気が基準になっています。私の子どもたちは寒川小学校に通いました。ばい煙と粉じんは年中飛来しますが、夏季にプールの授業があります。その水面にキラキラ光るものが浮かびます。製鉄所の転炉などから発生するグラファイトという炭素の小さな薄片です。水面に浮くので子どもの目の中に入ると言う心配が発生しました。孫が寒川小学校に通っていたころ粉じん問題が起こりました。

粉じんは家屋、洗濯物、自動車を汚染するので、健康には問題がないと勘違いする人もいます。JFEは粉じんだけを排出していません。コークス炉からは特有の臭いとともに硫黄酸化物、ベンゼンなど健康に有害な物質も排出しています。ベンゼンの環境基準は年平均値で3μg/m3(マイクログラム)ですが、寒川小学校で2023年6月に3.9、7月に2.9 μg/m3 が測定されています。これらの公害は、作業を続けるなら施設に覆い(東京ドームのような大きな建屋)を設けて中の汚染物を環境に出さず、処理することが基本です。その基本対策ができない会社は地域住民と共存することはできません。公害を発生させながらの操業を認めていれば、70年、100年たっても問題は解決しません。100万市民の健康と財産を守ることを会社の利益よりも優先させるべきです。政府が大手の製鉄企業に一律一斉に規制しなければ製鉄所公害はなくなりません。